否定語が文頭に来る倒置



今回のテーマは否定語を伴う強調の用法を見ていこう。 否定語といえば・・・何が思い浮かぶかな?


代表的なのだと、no とか not とかですよね。

・・・あとは何かしら?



他にも否定語の仲間はたくさんあるから、一緒に確認していこうね!

否定語が文頭に置かれると、疑問文のような語順に!?



強調されて文頭に置かれる語句が否定語だった場合どうなるのか、実際の英文を交えて見ていこう。

I little dreamed that I could see her again.
「彼女に再び会えるなんて夢にも思わなかった」



あれ、この英文には no や not が使われていないのに、「夢にも思わなかった」と否定的な意味になってません?


あ、いいところに気づいたね。
これは副詞 little が「まったく…ない」という強い否定を表しているから、否定文でもないのに、全体が否定的なニュアンスになっているんだ。

じゃあ、この little が強調されて文頭に置かれると、その後の語順はどうなると思う?



little っていうのはこの場合副詞ですよね!
倒置の意味で学習した内容に従うなら、副詞の後は動詞、主語の順番になるのでは?

だから、
Little dreamed I that I could see her again.
ってなるんじゃないかしら。



方向や場所を表す副詞の場合はそれでいいんだけど、否定を表す語句が文頭に来た場合は、否定語の後は疑問文のような語順になるんだ。

つまり、さっきの英文の little をとって疑問文にすると、以下のようになるよね?

Did I dream that I could see her again.



この状態で文頭に little を置いてみよう!

Little did I dream that I could see her again.



えっ、これが正しい語順なんですか?


そうだよ。
現在形なら did ではなく、do になるし、完了形なら have になるので注意しようね。
do や did を見ると疑問文のように思ってしまうけど、このように倒置の肯定文でも使われることがあるんだ。


little 以外の代表的な否定語って何があるのか教えてください!


そうだね・・・否定語でいえば、以下のような語句もよく使われるかな。

never「決して…ない」
seldom「めったに…ない」
hardly「ほとんど…ない」
scarcely「ほとんど…ない」

これらの語句も little と同様に文頭に置かれると、続く英文は疑問文のような語順の倒置文になるんだね!

否定の副詞節が文頭に置かれた場合



実は、この特殊な倒置は何も否定語に限ったことではないんだ。
否定の意味を持つ副詞節が前に出てきても、この倒置は起こるんだよ。

Not until we lost the singer did we realize he had a major presence.



ちょっと複雑な構造の英文ですね。


ヒントは、did の前までが、強調されて文頭に置かれている部分になるよ。 ということは、本来の語順に戻すとどうなるかな?


じゃあ Not until we lost the singer が、まるまる強調されているってこと?
でも、Not until の続きで、we lost と主語と動詞があって一文の形になっているから、単語でも句でもなく、節になっていますよね…。


うん、little とか一語じゃなくて、節がまるごと強調・・・
というとちょっと意外かもしれないけど、こういうパターンも倒置にはあるんだ。

さて、この英文を本来の語順に戻すと、以下のようになるよ。

We did not realize the singer had a major presence until we lost him.
「その歌手を失ってはじめてその存在感の大きさが分かった」



この英文には
not ~ until …「…してはじめて~する」
という頻出構文が使われているんだ。


じゃあ、今回はこの until 以下の「…して」の部分が強調されて文頭に置かれていたわけですね!


そして not という否定語を含んでいるので、続く部分も、did we realize と疑問文のような語順になっているんだ。

文頭に置かれて強調されているのが節の場合、少し長くなるため、文構造を見失いがちになるけど、結局のところ倒置のルールは一緒だから、落ち着いて読解してね。