潜在否定



否定表現の中には not を伴わない表現もあるんだ。
これがちょっと厄介なんだよね~。


not がついていないってことは、否定文だと一目では分からないってことですよね?
じゃあ、どうやって否定表現だと見分けたらいいんでしょうか?


そのあたりも含めて、今回のテーマを見ていこう!

否定語を使わない否定表現



否定文は not がついているので見分けやすいと思っているかもしれないけど、否定文が必ずしも not といった否定語や、hardly や scarcely という準否定語を伴うわけではないんだ。

She is anything but humble.



この英文は anything but の意味が分からないと正しく訳せないよ。


anything but って、どういう意味ですか?


anything but「決して~ではない;~どころではない」という意味で、humble は「謙虚な;つつましい」という意味なので、全訳は以下のようになるよね。

「彼女は決して謙虚ではない」



あれ?
英文にはどこにも not をはじめとする否定語は使われてないですよね?


そうなんだ。
でも「~ない」と否定的な表現になっているんだよね。
こうした表現を、隠された否定表現として潜在否定と言うこともあるよ。


潜在否定は否定語がないから、一見、否定表現とは気づきにくいし、気をつけて読解しないと間違えやすそう~。


じゃあ演習もかねて、その他の潜在否定の用法を見てみよう!

The book is too big to fit in my bag.



学校で習った有名な too ~ to … の構文も潜在否定の一種と言えるんだよ。


確か、too ~ to …「あまりに~すぎて…できない」意味ですよね?
fit into my bag は「私のかばんに収納する」という意味だから、全訳は

「この本は大きすぎて、かばんにしまうことができない」

って感じでいいのでしょうか?



大正解!
じゃあ次は beyond を使った否定表現にチャレンジしてみよう!

The fact that he is innocent is beyond dispute.



そもそも beyond とは「~を越えて;~の向こうに」という意味の前置詞ですよね?


そうだよね。
ところが、そこから派生して
「~が及ばない;~する余地がない」
という否定的な意味で使われることがあるんだ。


じゃあ、beyond dispute は、
「議論を越えている」→「議論の余地がない;疑う余地がない」
とすればいいってことですね!


そうそう、だから、全訳は
「彼が無実であるという事実は疑う余地がない」
となるよ。


beyond のそもそもの意味から、「~ない」という否定的なニュアンスが導き出せるかどうか、そこがポイントとなりそうですね。


もちろん、beyond dispute の他にも beyond はさまざまな名詞とセットになって、潜在否定の意味を表すことがあるので、beyond ~ という表現が出てきたら要注意だよ。