文否定と語否定



一般的な否定文は、「文否定」と「語否定」の2つに大別することができるよ。


文否定と語否定?
あまり聞きなれない用ですね。


おそらくどちらのパターンの否定文も見たことがあるはずなんだけど…。
意識しないと2つの区別ができず、間違って読解することにもなるから、しっかり見ていこう!

文全体を否定するのか、それとも文中の語句を否定するの



そもそも否定文ってどんな形だっけ?


えっ、簡単ですよ。
英文に not が使われている文ですよね?


そうだよね。
でも、その not の位置によって、文全体を否定しているのか、それとも語句や節を否定しているのか、という違いがあるんだ。

次の2つの英文を見比べてみて。

(1)Many of the students could not solve the examination question.

(2)Not many of the students could solve the examination question.



あれ?
この2つの英文は not の位置が違いますね~。

(1)の英文は動詞 solve の前に not があり、
(2)では Many の前に not が置かれていますよ。



実はこの not の位置によって、英文の意味や訳も微妙に変わってくるので、not の位置には特に注意しないといけないんだ。

じゃあ、まず(1)の英文の意味はどうなるかな?



「生徒の多くがその試験問題を解くことができなかった」
ですよね?
これはわかりやすいわ!


じゃあ、(2)の訳はどうなるかな?


not が文頭に来ていますよね。
ということは、not が何かの語句にかかっているのかしら?


ヒントはこの英文は not が何にかかっているかということ。
(1)は solve という動作を否定していたけど、(2)は直後の Many だけを否定していると考えてみて。


じゃあ 「その試験問題を解くことができた生徒は多くはなかった」 と、many だけを否定する訳し方でいいのでしょうか?


大正解!
これは「文否定」と「語句否定」と呼ばれる用法で、(1)のように、英文の主動詞の前に置かれた not は主語と動詞の結びつきを否定して、文全体を否定することになるんだ。
要するに、一般的な否定文のことだよね。

一方で、(2)のように英文の一部の語句だけを否定しているので、語句否定と呼ばれているんだよ。

だから、2つの英文は意味も違えば、訳し方も異なるわけだね。



理屈はわかったんですが、語句否定はやっかいそうですね。


確かに慣れないと、やっかいかもね。
文否定であれば、英文全体を否定していると考えればいいけど、語句否定の場合はその置かれる位置によって、否定のニュアンスが届く範囲が異なるからね。

否定される範囲を見定める

The teacher told me not to insult my friends.



この英文では、not が to 不定詞の前にあるよね。

ということは、to 不定詞で導かれる to insult my friends の句をまるまる否定していることになるんだけど…

told という文の主動詞の前に not があるわけではないので、英文全体を否定しているわけではないんだ。



ということは、to 不定詞からはじまる不定詞句を否定する、語否定ってことになるんですね!


そう、だから訳す時は to 以下の内容だけを否定するように気をつければいいので、
「先生は私に友達を侮辱しないように言った」
となるよ。

ちなみに、文否定になる場合は次のようになるよ。

The teacher did not tell me to insult my friends.
「先生は私に友達を侮辱するように言わなかった」



あれ、さっきと意味が全然違いますね!
これからは否定文でも、not の位置に注意して、それが英文全体を否定しているのか、それとも一部の語句を否定しているのか、否定のおよぶ範囲に意識を向けてみますね。