倒置の意味



倒置というのは英文が本来の語順とは違う順序で語句が並ぶことを意味するんだけど、たとえば疑問文でもないのに主語と動詞の位置が逆になったり、否定語がいきなり文頭に置かれたり、そんな英文見たことないかな?


あります!
普通の英文とはちょっと違う語順でややこしいですよね。


それではなぜ語順を変えてあえて分かりにくくしてまで倒置という用法は使われるのか?
そこには2つの理由があるんだよ。

特定の語句を強調する倒置用法

副詞(句)を強調する場合



たとえば、以下の英文の副詞を強調したい場合を考えてみよう。

The dog ran away from our backyard.
「裏庭から犬が走り去っていった」



副詞は away「遠くに」だから、この語句を強調しようと思ったら、まずは文頭に置くんだ。

Away the dog ran from our backyard.



ただし、方向や場所を表す副詞が強調されて文頭に置かれた場合、その後に続く主語と動詞が「動詞+主語」の順番になることが多いんだ。
つまり、先ほどの英文は Away を文頭に置くと、次のようになるよ。

Away ran the dog from our backyard.



それじゃあ今度は以下の英文で副詞句を強調するとしたら順番はどうなると思う?

My sister lives far from my town.
「姉は私の住む町から遠く離れたところに住んでいる」



副詞句ってことは far from my town のことですよね。
さっきのルールに従うなら、この語句を文頭に持ってくればいいんじゃないかしら?


最初の手順はそうだね。
そして、この場合も副詞の場合と同様に「動詞+主語」の順番になるんだ。

Far from my town lives my sister.



このように場所や方向を表す副詞(句)が文頭に出ると、続くSとVが逆転することを覚えておこうね!

目的語や補語を強調する用法



目的語や補語が倒置で文頭に置かれる場合も、語句が強調されているからこそなんだけど、その際に続く主語と動詞の語順は、逆になる場合もありますし、そのままの場合もあるんだ。

She looked very beautiful on stage.
「ステージでの彼女はとても美しく見えた」



この very beautiful という補語を強調する場合は続く部分が”動詞+主語”という順番になることがあるよ。

Very beautiful looked she on stage.



ところが、これはとても文語的な表現で、よく用いられるのは主語と動詞がそのままの語順の方なんだ。

Very beautiful she looked on stage.



じゃあ、たいていは後者のパターンで見かけることの方が多いんですね。


このようにある語句が文頭に置かれて、その後の主語と動詞の語順が入れ替わったりなど倒置が生じる理由の1つは「ある語句を強調するため」なんだ。

英文のリズムを整える倒置用法



英語では口に出して読んだ時などにリズム感のある文章が好まれる傾向があって、この傾向に沿って、言いやすいように英文の語順が変わり、倒置が使われるケースもあるんだ。

“I promise I will keep in touch,” said Lucy.
「『きっと連絡します』とルーシーは言った」



えっ、この英文のどこが倒置なのかしら?
どこも語順のおかしいところなんてないような…。


ほら、よく見てみて!
said Lucy の部分は本来なら Lucy said と主語の次に動詞が来るはずでしょ?

さらに、もっときちんとした形に書き換えるならば、
Lucy said “I promise I will keep in touch.”
となるはずだよね!



あ~、そっかぁ!
なんか、こっちの方は見慣れた形だったから、倒置ってことにさえ気づかなかったわ!


Lucy said の部分を実際の会話の“ ”の後に持ってくるなら、said Lucy とした方が読みやすいので、このようになっているんだ。
もちろん、この英文単体だけではなく前後の流れも踏まえて、倒置した方がリズムがよくなると書き手が判断しているからだよ。


なるほど~。
こんな風に、英文を読んだ時のリズムの関係で、ちょっとした倒置が使われることもあるんですね。