同じ名詞の繰り返しを避けるための that



同じ単語ばかりを繰り返して使うのは日本語でも英語でもあまり良しとはされないよね。


確かに、同じ言葉ばかり続くと、ちょっと幼稚な文章っぽくなりますよね!
私はついついそういう文章書いちゃいますけど。


そこで、名詞の繰り返しを避けるために指示語の that が代用されることがあるんだ。

繰り返される名詞は that で置き換える

The climate of Japan is warmer than that of Russia.



この英文では The climate という部分の繰り返しを避けるために、that という指示語が使われているんだけど、もし、that を使わなければ、

The climate of Japan is warmer than the climate of Russia.

となり、短い文中に climate が二回も続くので、見た目的にもあまりよくないよね?



日本語に訳すのに夢中でしたが、そう言われれば、そうですね。


ということで、that は climate を表しているから、
「日本の気候はロシアの気候よりも暖かい」
という訳になるよね。

ここで、注意してほしいのは、この that を「それ」と訳さないでほしいということ。



えっ、なんで?
that は「それ」という意味ですよね?


「日本の気候はロシアのそれより暖かい」でも何となく分かるけど、読み手には少し分かりづらい訳になっているので、that が何を指すのかを具体的に訳出してあげた方が親切だよね。

他の指示語でも同じことが言えるけど、「それ;それら」という訳はとても曖昧な言い方だからね!

代名詞 that と one の違い



名詞の繰り返しを避けるための that はとても便利な用法のように見えるけど、どんな名詞でも使えるわけではないんだ。


そうなんですね……残念。


上の The climate of Japan は of Japan と修飾語がついているよね?
つまり、「日本の気候」と限定することで、どんな気候なのかを説明しているんだけど、ただの climate だとぼんやりとしていて、気候という一般概念を表していることになるので、that は使えないんだよ。


つまり、that で置き換えるためには、名詞に何か修飾語がついている必要があるということですか?


そうなるね。
形容詞句や形容詞節などの修飾語句がつく名詞であることが条件になるんだ。
だから、基本的に【the+名詞】を that で置き換えることになるよ。


そっか、修飾語句で特定されているから、the がつくのは分かるんだけど・・・。
じゃあ、不特定で限定されていない名詞【a+名詞】は何で置き換えることができるの?


その答えを見つけるためにも、次の英文の(  )の中に何が入るか考えてみて!

A new camera is easier to use than an old ( ).
「新しいカメラは古いカメラよりも使いやすい」



本当は camera と入れたいところだけど、それはただの名詞の繰り返しになるし…。
that じゃだめなのかしら…。
う~ん、ちょっと混乱してきたわ。


大丈夫?
ちょっと難しかったかな。
実は、この場合は one が入るんだ。


なぜ that じゃダメなんですか?


that は限定されていたり、特定されていたりする名詞の言い換えつまり、【the+名詞】の言い換えって説明したよね。

一方でこの英文は an old (  )と【a+名詞】の言い換えが問われているから、この場合は a camera の言い換えになり、that ではなく one になるんだ。



そうか、that は名詞に何か修飾語句がついていて、【the+名詞】の代わりをするんだったね!


a といえば不定冠詞だから、「定まっていない」わけだね。
つまり、この場合は何かのカメラと特定しているわけではなく、一般的な「新しいカメラの1つ」と「古いカメラの1つ」を比較しているんだ。

だから、one のことを「不定代名詞」なんて呼ぶこともあるんだよ。